相続税の計算をおこなう際に配偶者のみが適用することができる控除があることをご存知でしょうか。
相続税は平成25年の税制改正により、基礎控除額が大幅に引き下げられたため、申告対象となる人が増加傾向にあります。場合によっては非常に大きな金額となってしまう相続税ですが、配偶者控除を適用することで納税額を大幅に抑えることができます。
「配偶者控除ってなに?」
「配偶者控除を適用するとどうなる?」
といった疑問を持つ人は多いのではないでしょうか。
そこで今回は相続税の配偶者控除について解説していきます。配偶者控除は相続税を大きく減らすことができる有効な制度ですが、気をつけるべきポイントもあります。配偶者控除の概要と併せてデメリットなども確認していきましょう。
▼配偶者控除とは
配偶者控除は、配偶者が相続した財産のうち、次の金額のどちらかが多い金額までは相続税の対象とならない制度のことをいいます。
①法定相続分
②1億6,000万円
法定相続分とは、民法で定められた相続財産の相続割合のことをいいます。配偶者の法定相続分は相続人と被相続人の関係性などによって次のように変動します。
・法定相続人:配偶者と子・・・1/2
・法定相続人:配偶者と被相続人の親・・・2/3
・法定相続人:配偶者と被相続人の兄弟姉妹・・・3/4
たとえば、次のような場合には、配偶者の法定相続分は2億5000万円となるため配偶者に相続税は発生しません。
<条件>
・法定相続人:配偶者・子A・子B
・課税遺産総額:5億円
<法定相続分に応じた取得金額の計算>
配偶者 → 5億円 × 1/2 = 2億5,000万円
子A → 5億円 × 1/4 = 1億2,500万円
子B → 5億円 × 1/4 = 1億2,500万円
<相続税の総額の算出>
配偶者 → 2億5,000万円 × 45% - 2,700万円 = 8,550万円
子A → 1億2,500万円 × 40% - 1,700万円 = 3,300万円
子B → 1億2,500万円 × 40% - 1,700万円 = 3,300万円
相続税の総額・・・1億5,150万円
<納付税額の算出>
配偶者 → 相続税額の納付なし(配偶者控除により)
子A → 3,300万円 × 1/4 = 3,787.5万円
子B → 3,300万円 × 1/4 = 3,787.5万円
▼配偶者控除のデメリットとは
配偶者控除の一番のデメリットは二次相続時における納税額が増える可能性があることです。これは二次相続時においては配偶者控除が適用できないことや、二次相続時における法定相続人が1人減ることにより、基礎控除額が減少することが関係しています。
そのため、二次相続を想定した上で配偶者控除を適用しなければ、一次相続時および二次相続時における、子が負担する相続税納税額が大きくなってしまう可能性があります。
このように、配偶者控除は非常に大きな節税効果が期待できますが、使い方を誤ってしまうと、結果として損をしてしまう可能性があるため、心配な人は一度税理士などの専門家に相談するようにしましょう。
成田正己税理士事務所では、横浜市戸塚区、泉区、栄区、鎌倉市、藤沢市を中心にさまざまな地域の税務相談に対応しております。「所得税」や「法人税」、「相続税」や「海外問題」などの税務以外にも、会社設立サポートや起業サポートなど、さまざまな相談を個人、法人を問わず承っております。税務や経営について少しでも不安や疑問のある方など、まずは気軽にご相談ください。
相続税の配偶者控除とは?計算方法も解説
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